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首をかしげながらも気を取り直し、槍を構えた幸村を見て、家康がぱっと身を翻した。 主が肩から飛び降りると同時に、忠勝が進撃を開始する。迎える幸村も槍をすばやく十字に構えなおした。 赤い夕日を切り裂いて、爆音と共に迫り来る強敵の姿に、幸村の体を闘魂の炎が覆い尽くした。 唸る鉄拳、岩をも割り、雷神真王、大地を砕く。 纏うは鋼鉄、背負うは天下。見果てぬ主の夢のため、戦国最強荒野を進む。 飛び散る岩くれ、砂塵を裂いて、燃えよ棲羽亜陀、不死鳥のごとく。 山より高きその胸に、勇気と闘気を溢れさせ、ただ一心に主のために、日の本一の兵が吼える。 戦闘開始当初、沈み始めたばかりだった夕日は、今もまだ先端を地平に 埋めただけだ。 しかしその僅かな間に、両者の打ち合いはすでに数十合におよんでいた。 剛槍を二槍が受け流し、裂帛の突きを雷撃がなぎ払う。 速には剛、力には技と、互いに一歩も譲らぬまま、丁々発止と繰り広げられる激戦に、 見守る家康の額にも汗が流れる。 石くれだらけの地面を滑るように走り、瞬く間に眼前へと迫った巨体を、間一髪、 幸村が横に飛んで避けた。だが砂利に足をとられたか、姿勢が大きく崩れる。 すぐに体勢を整えたが、僅かな隙を見逃さず繰り出された攻撃を、再び避けることは叶わない。 寂寥とした大地に、ちぎれた赤揃えが血のように飛んだ。 襟が飛び、首を飾る六文銭が地に落ちた。くっきりとした鎖骨と肩の線が丸見えになる。 大きく裂けた前身ごろの隙間から、柔らかそうな脇の下と白い横乳がまろびでる。 だが未だ肝心な部分は、赤い鉄に隠されたままだ。絶対領域健在なり。 「でやっ!」 大きく身をひねって跳び退ると、幸村は片膝付いて前方を睨みつけた。 表情は厳しいが、ぼろぼろの装束を通してちらちら見える白い肌は艶かしい。 立てた膝に押し上げられて、片胸がむにっと顎まで盛り上がった。 「よーし、よくやった忠勝!虎の若子よ、そろそろ観念したらどうだ!」 構えを解かない忠勝の後ろで、ぴょんぴょん跳ねる家康が自慢げに顎をそらした。 ぷにぷにの腹が伸びて、意外に形のいいへそが丸出しになる。 だが幸村の目は、まだ闘志を失っていない。油断なく忠勝を睨みながら、槍を支えに 身を起こし、今度はそれを鎹に構える。 「なんの!幸村が槍、まだ折れはせん!勝負はこれからでござる!」 「ふふん、乳だけでなく口まででかいわ!だが驕る巨乳は久しからずよ! 行けい忠勝!彼奴めの乳拓をとってやるのだ!」 「ちちたく!?」 巨乳ハンター5
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■■。 『はいはい』 奥女中になればついて来れるぞ。 『ヤです』 そうか。――なあ、■■。 『今度はなんですか』 なぜ、武田の外に嫁ぐ方がよいと思ったのだ? 『うーん、…詳しく言うと旦那怒るから、わかんなくても説明しませんよー』 ■■に決めさせたら、誰にしていた? 『うぅぅーん…絶対ダメってのはすぐに浮かぶけどねー。明智とかさー、豊臣とかさー、旦那、苛められそうだし。遠すぎるから中国四国もナシ。…そうだなあ、徳川とか、かな。でもね、旦那気にしなくても大丈夫。伊達って盲点だったけど、凄くいい選択かもしれない』 盲点? 『宿敵なんでしょ、旦那に薦めたら怒られるかも、でしょ』 夫婦は生涯無二の好敵手の如し、とお館様はおっしゃったぞ。 『あーはいはい、もうこっちの事は忘れていいから頑張ってきてよ。嫁ぐなら竜の心奪って見せろーっ、とも言ってたでしょ?』 …ああ。 しっかり励めと、激励してくださったな。 『ね。大丈夫、旦那顔はかわいいよー、顔は。子供の頃のがずっと可愛かったけど』 そ、破廉恥なっ あははははと笑い飛ばされ、眉の形を直される。 『あのさー旦那。俺は絶対そっちには行かないんだからさ、 もう旦那が槍振り回してたって、誰も褒めないよ』 ■■? 『だからさあ、旦那もう頑張らなくってもいいんじゃない?』 びっくりして■■の目をみて、それは違うと首を振った。 それから笑った。 どうしてこんなに忘れて欲しいと、表現を変えて言い続けるのだろう。 忘れられるわけがない。 お館様のことも、■■のことも、この地のこと全て、戻ることがなくとも忘れない。 嫁ぐことは死ぬことではないから、なくなって消えたりはしない。 緩んだ顔をみて、■■が縋るような声をかける。 『もう、女の子に戻ってもいいんじゃないかな』 違うぞ。■■。 某、女を捨てたこともなければ、男になりたいと思ったこともないぞ。 忍びになりたいと思ったことはあるが。 某が槍を取るのはお館様のお役に立つため。褒められる為ではない。 『でも旦那。遠くにいたら、槍を取る以外のやり方で役に立てるんだよ。奥州で…まあ想像つかないけど子ども産んで、育ててさ。槍をぶん回すより見た目解りにくいけど、違う方向ですっごいお役に立ってるんだよ。いいじゃない、もう』 忍びの助言。 うむ。お館様からもそのようなお言葉を頂いた。 もちろんこの幸村、ご期待に添って見せる所存。だが、それとこれは別でなのだろう。 別の方向なら、共に役に立つのもいいではないか。 昔から、槍以外何一つうまくはできなかったのだ。 妻として大成するかは解らぬが、出来ることも手放す気はない。 ただただ己の未熟を恥じ、二つ共に励むのみ。 政宗×女幸村 R12
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MediaBasara(メディアバサラ) メディアバサラに書いた新着記事を10件表示するようにしました。もともとは片岡麻実のSOHOのメディアでしたが、ウェブ系や、初心者向けのQ Aも書いています。ご活用くださいませ。 新着記事は見つかりませんでした。
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/2405.html
安居神社の境内に赤備えを身に着けた負傷者達が座り込んで居る。 彼等こそ徳川本陣深くまで切り込んだ真田幸村率いる真田隊の生き残りだ。 自身も傷を負いながら幸村は休まず他の隊員の手当てをしていた。 槍の先端は既に綻び、彼の腕も二槍を支え切れなくなっている。 「幸村様、やりましたね俺達…」 「ああ。徳川に目に物見せてやった。あの三河守の驚いた顔と言ったら無い」 顔面蒼白の家康は本多忠勝に守られ命からがら撤退した。 ここまで敵の心肝寒からしめた負け戦などあるまい。 圧倒的な兵力差がありながらも馬印を蹴倒した倒した彼等の心は昂ぶっていた。 「真田源二郎幸村殿とお見受け致す」 背後から声がした。 「拙者西尾仁左衛門宗次。御首、頂戴致す」 幸村は振り返りもせず手当てを続けながら静かに言った。 「某逃げも隠れもせぬ。が、暫し待て。この者の手当が先だ」 「幸村様…」 淡々と包帯を巻く幸村を見て西尾は刀を下げる。 「相分かった」 「忝い」 手当てを終えた幸村は最後の力を振り絞って二槍を掴んだ。 ――きっとこの武士に自分は負ける。 悔いは無い。 子ども達を政宗の元に託した今、後顧の憂いも無い。 胸に有るのは六文銭の旗の元、数多の戦場を駆け抜けた矜持のみ。 瞼を閉じると巨大な戦斧を傍らに置いた大きな背中が見えた。 あの背中に追いつこうと、自分はいつもひた走り続けてきた。 一体どのくらい近付く事が出来ただろうか。 熱い拳で語り合い、抜山蓋世を体言した様なその出で立ちに若い自分は圧倒され、 仕える事の出来る仕合わせを人一倍噛み締めたものだ。 そして不幸にも、遂にその人を超える主君を幸村は見出せなかった。 (見ていて下され、お館様) 幸村は亡き師に呼び掛け息を整えると二槍を構える。 「西尾殿とやら、いざ参られよ。この真田源二郎幸村がお相手致す」 うたかた13
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/902.html
一つの布団に二つの枕、横に座った甲冑姿の幸村が、そこにいた。 政宗の絶叫に呼応するように幸村も叫ぶ。 「政宗どのぉぉぉっ!再びあいまみえる日を、この幸村、心待ちにしており申した!」 槍を構える姿も堂にいっている。 間違いなく、宿命のライバル、真田幸村だった。 「~~っ、Hey,新床にもぐりこむとはいー度胸じゃねえか。つーか花嫁衣裳着てたのもアンタか」 幸村はきょとんと目を見張り、槍の穂先を下げる。 「左様にござるが。着慣れぬもので往生したでござる」 「アンタの空気の読めなさはどうなってんだ、妹の婚礼邪魔するやつがいるかっ」 がりがりと頭をかきながら凄むと、幸村はにこりと笑った。 「某の婚礼でござる」 「Ha!……はぁ?」 あざ笑おうとした声が喉奥でとまる。 幸村は嘘などつきそうもない、澄んだ目で政宗を見ていた。 「某は真田幸村、真田家の次女でござるよ」 「幸、だろ?」 悪あがきじみた言葉を搾り出すと、幸村は手にした槍を誇らしげな目で見つめた。 「某、初陣にてお館様にお褒めの言葉を頂き、更にはもったいなくも村正の槍を頂戴いたした。それより村正から村の字を取り、幸村、と名乗っているのでござる」 頬を輝かせて語る様子に、政宗はその場にへたり込んで長い吐息を尽いた。 「アンタが信玄がらみで嘘をつくわけがねえな。…OK、じゃああんた、女だったのか」 幸村は不思議そうに頷いた。 「隠したことなどないはずでござるが…政宗殿、気づかなかったのでござるか?」 節穴呼ばわりした自覚はなさそうだったが、政宗はむっとして気遣いなく応えた。 「悪いな、Jacket一枚で戦場を駆け回る女がいるとは思わなかったモンでね」 さすがに幸村もむっと頬を膨らませた。 子供か。 政宗×女幸村9
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1022.html
幸村は怒りにまかせて槍を振るっていた。 心が波立つときは一心に武芸に励むに限る。 信玄が死んだときも、朝から晩まで槍を振るった。 体が疲れ果てた頃には波がおさまっているから。 呆然と目を見開いた政宗の顔が去来する。ひどく傷ついた顔をしていた。 「某は未熟者でござる」 だが己は何も間違ったことは言っていないはずだ。謝る筋合いがない。 あの時は本当に驚き心配したのだ。単騎突っ込んで何もないわけがない。 もし、もし首など取られたら・・・!と思うと肝が冷えた。 しかし己は大将で。陣を離れるわけには行かなくて。 「しかし・・・あの時、言うべき事は他にあったはずだ、な・・・」 槍を止め、呟く。 帰還した政宗が大した傷もないのをただただ安堵したのは本当だ。 心配した、無事で良かった、心はありがたいがもうやめてくれ・・・ いくらでも今ならもっといい選択肢を思いつく。 政宗がつっぱしったのも分からなくは無いのだ。 彼女にはもう幸村しか頼れるものがいなくて、 しかも母に邪険にされた幼少期の反動か愛されたい欲求は人一倍持っていて。 だから、なんとか幸村の歓心を買いたかったのだろう。 何をも恐れぬ独眼竜がたった一つ怯えることが幸村に嫌われることである、ということに確信を持ったとき、何とも言えず庇護欲に駆られ、決して彼女を傷つけないようにしようと己に誓ったというのに。 今日、自分自身の言葉で彼女を傷つけた。 「某は本当に若輩者だ」 「まーったくだねー」 にゅっと目の前に突然現れた腹心の忍に心臓が止まるかと思った。 「うぉお!?さ、佐助?!心でも読んだか!新たな忍の術を会得したのだな!」 「術じゃ無いよ。旦那に長いことお仕えしてりゃそれくらい分かりまさぁね。 つうか分かってるなら今からでも言いに行けばいいじゃない」 ため息混じりで諭され、幸村はしゅんと俯いた。 「しかし、怒っておられるだろう。某などしばらく見たくもないと言われたら、某は・・・心痛のあまり死んでしまう!!!」 「おーげさ!!なにこれ、超絶痴話喧嘩じゃん!やってらんねええええ!」 天下一の忍が思わず心の声まで吐露してしまうバカップルさ。 しかし、すぐ平静を取り戻し、気を取り直して宥めるのはさすがである。 「大丈夫だよ。向こうこそ旦那が怒ってるって思っててしょんぼりしてるよ」 「真か・・・」 「うん、本当。てゆーか旦那が早く行って助けてあげないと可哀想」 「かっかわいそう!?助ける!?な、なにがあったのだぁああ!佐助ぇええ」 不穏な単語に面白いくらいに動揺する幸村。 佐助は旦那は本当に面白いなぁと内心爆笑しながら事の顛末を教えた。 破廉恥な!と断続的に叫びつつも全て聞いた幸村は槍を放り出して脱兎のごとく走り去った。 その槍を拾い上げながら佐助は幸村を見送る。 「ほんとーにいい夫婦だよねー」 と言いながら。 犬もくわねど6
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cp女サンデー→元親→子ダヌキとホンダムの一方通行。 ザビー城でリアル「捕まえてご覧なさぁーい」と延々柱の周りをクルクルするのが癖の人向け。 元親、バカ。懐の広さ2割減 愛に目覚めたサンデー様なので色々と壊れています。 元就様ストーリーモード未クリアの方は序盤盛大なネタバレとうんざりするほどの台詞引用改変がありますのでご遠慮願います。 冒頭青紅夫婦(政宗×女幸村他と同一設定)がいますが、途中からほぼ空気になるので気にせずに。 ついでに島津←女顕如とも繋がってますが、深いことは考えずに。 盛大な壊れっぷりに耐えられたらどうぞ。 暦だけではない春は何時来るのだろう、暦の上の春が来れば、真実暖かな季節が訪れるのか。 暦の春もまだ遠く、空は黄砂に曇ることなく、ひややかに澄んでいる。 誰もが春を期待もしない頃に、その知らせは届いた。 「政宗様!最北の村が海賊に襲われているとの知らせが!旗印は、長曾我部…」 畑仕事をしていたのか、野良着の小十郎が額に青筋立てている。 「なんと!もののふ一人とていない農村を襲うとは……許せぬ!」 幸村が懐から六文銭を取り出して握りしめる。 最北端が伊達に恭順したのは幸村がこの地に来てしばし経った頃、つまりたった三ヶ月半ほど前のことだ。 もののふどころか雪以外には何もないような土地だが、小十郎の指導の元、着実にお野菜王国への一歩を踏み出そうとしている。 だが今邪魔をされては、秋のうちに進めた腐葉土制作も灌漑工事も、何もかもが台無しだ。 「ok!幸村、一部隊だけ連れてきな!小十郎はここに残ってPartyの準備をしてろよ!長曾我部は伊達の同盟国だからな、……根性入れとけ」 幸村の顔が輝く。小十郎の眉間に深いしわが刻まれる。 「政宗様!これより客人がいらっしゃる予定!この小十郎に任せ……」 悪いな、と軽く手を挙げ、幸村と部屋を駆け出す。 「長曾我部とはどのような相手にござるか!」 「西の海賊だ。獲物は身の丈よりも長い、鎖付きの槍、そいつを片腕で振り回す」 幸村の顔が輝く。その手にあるのは短めの、二本の槍。 槍を使うものは珍しくないが、片腕で扱う武将は幸村と元親、 この二人しか政宗は寡聞にして知らない。 「きっと気が合うぜ」 言い添え、引き出された馬にまたがった。 うる☆オクラ2
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註:姉貴達のようなムチャな飲み方を普通の人間がすると、かなりの高確率で救急車 のお世話になりますので、良い子も悪い子も決して真似をしないで下さい。 停泊する長曾我部の船倉から酒を数本失敬した元親は、奥州に行く前に誂えた新品の碇槍『長槍・荒渦』を構えると、船から陸地へと器用に「十跳」で移動した。 酒瓶を落とす事無く着地した元親だったが、その衝撃で自分の手首に槍に絡まる鎖の端が触れた瞬間、ビクリと身を竦ませる。 あの時。重機を収める倉庫で彼に犯された元親は、その際、自分を拘束する為に使われた愛用の武器である『八流』を、恐怖から手にする事が出来なくなっていたのだ。 「…っ…」 どうにか自分の中で気持ちの整理をつけた元親は、右腕で碇槍を、左腕で酒瓶を抱え直すと、伊達の屋敷に続く道を歩き続けた。 (長曾我部の鬼女は、船の操舵をする際、自身の態勢が崩れぬよう、海賊の強靭な『懐刀』を、腰に『差し込んで』貰うらしいぞ) (海賊の一員になる為には、航海術や戦術よりも、あの女を満足させられる『竿』が、何よりも重要との事だ) (では、海の男共は、皆あの鬼の大女の『洞窟』に『帆柱』を突き立てた『兄弟』という訳か。なるほど、どうりで結束力が固い訳だ!) 心無い外部の揶揄に元親が傷付く度、幼い頃から元親の事を良く知る家臣や仲間達は、彼らなりの方法で気遣い、励ましてくれた。 ある時、育ち過ぎた自分の胸を少しでも小さくしようと、息が苦しくなるまでサラシで締め付けていた元親を、海賊達は次のように言って慰めてくれたのだ。 『お嬢の胸が大きいのは、それだけお嬢の夢が、いっぱい詰まっているからですよ』 そして、その夢の為なら、自分達はいくらでも力を貸すと約束してくれた。 「そうだよな。俺には…私には、皆がいてくれる。それで充分じゃないか……」 薄く笑いながら、元親は自分自身を納得させる為に小さく頷く。 言いたい人間には、言わせておけば良い。自分には、本当に自分の事を理解し、慕ってくれる仲間がいる。 他に何を望もうというのだ。 他に、何を…… 『…元親……』 自分の意志とは関係なく、突如脳裏に反芻された彼の囁きに、元親は弾かれたように首を振る。 違う。あれは、彼お得意の『策』の一種だ。 そうでなければ、彼のような男が、自分のような女を傍に置こうとする理由が、思い当たらない。 考えながら歩いている内に、いつの間にか政宗の部屋の前まで到着していた元親は、扉越しに小さく声を掛けると、彼女の名を呼んだ。 暫しの後、何処か間延びしたような返事がしたかと思いきや、開けて中に入ろうとした元親の鼻孔を、早くも大量の酒の匂いが刺激してきた。 「ちょ…政宗!俺が来る前に、どんだけ飲んでたんだ!?」 「アァン?おめ~がさっさと来ないのが、悪いんじゃね~かよぉ~♪」 それは、これまでの元親の心の喧騒を、「CRAZY STORM」か「PHANTOM DIVE」で吹き飛ばすかのような光景だった。 覚束ない舌で、ケタケタと返事をする政宗の頬は、夜目からも判るほど染まり切っている。 「落ち着いたら来いっつったの、お前じゃねぇかよ。あーあー、またこんなに飲み散 らかしやがって……」 既に数本畳の上に転がっている空き瓶を拾い上げると、元親はそれらを部屋の隅に置いた。 「遅い!」 「……悪かったよ。ちょっと、酒を取りに船まで戻ってたんだ」 「寄越せ!」 「──はいはい」 四国の地酒と、果樹園を栽培する領民から貰った酢橘(すだち)の酒を、元親は政宗に手渡した。 姉貴22
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脚本:高橋ナツコ/絵コンテ:佐野隆史/演出:仁昌寺義人/作画監督:垣野内成美、齊藤格、澤田美香 約束の地での決戦を誓う徳川家康と石田三成。 一方、天海の真の目的が、第六天魔王・織田信長の復活だと知った慶次と孫市。 生者を取り込みながら西進する、お市と天海。 また、四国壊滅の真犯人が毛利元就だと知った長曾我部元親。 そして政宗と幸村は、大坂の地でついに再会。 全ての者達の想いが決戦の地、関ヶ原に向けられる。 (アニメ公式サイトより引用) +←箇条書き先頭のこの部分をクリックすると詳細が表示されます。 もう一度クリックで 閉じます。 ※このページでは検証目的で「戦国BASARA Judge End」(テレコム・アニメーションフィルム制作)の映像を一部引用しています。 サムネ表示なので、クリックすると大きめの画像へ飛びます。 ・以下アニメの疑問点を紹介 + 謎のファンシーな大漁旗 謎のファンシーな大漁旗 卒塔婆郡の中にはためく大漁旗だが、非常にファンシーなデザインとなっている 鮫をデフォルメしたマスコットの背に日章旗、そして中央には「西海の鬼」と文字が 書かれていると思われるが、はためいている状態で「西海の男」としか読み取れない このシーンにおいては、あまりにも場違いなものとしか思えない大漁旗である 原作において長曾我部軍で「大漁旗」という言葉は出てくるが、実際に大漁旗は出ていない 大漁旗自体については、原作無印の政宗OPにて騎馬で大漁旗をはためかせている演出有り 但し、この様なファンシーな大漁旗では無い + ゾンビ化してお市と共に移動する織田兵達 ゾンビ化してお市と共に移動する織田兵達 原作において市が死者を魔の手で引きこむ行為は有るが、死者そのものを操る設定は無い 「覗け音の海」で根の国を展開させ吹き出す怨霊で攻撃をするという固有技が有るが 死者をゾンビ化して操れる訳ではない 南部晴政の「南部黄泉夜行」と称される香炉の作用で亡者を何度も蘇らせるという設定は有るが 勿論市がそれを使うという設定等無く、南部晴政はアニメに登場していない + 激昂する雑賀孫市 激昂する雑賀孫市 原作において孫市は常に冷静に物事を判断し、動揺を見せる事は極稀というキャラクターである 織田信長に対して憎しみや恨みを抱き続けているが、周囲にはこういった感情は隠している だがアニメにおいて、まつから天海の信長復活計画を聞かされ「そのようなこと断じて許さぬ!」と 人前で怒りの感情を露わにする演出がされ、孫市のキャラクター性とかけ離れた演出と言える 慶次より「どうしたんだ孫市、あんたらしくも無く興奮して」と言われるが“らしくない”どころの 違和感では無い 加え、アニメ内で「もう二度と誰であろうと奴に汚されることは許さん。そのために”私”は孫市を継いだ」と語っているが ゲーム内でこのような事は語られていない 雑賀衆が「全は個、個は全」という独自の考えで動いている事は、原作内の孫市の台詞からも明らかであり、 彼女が孫市を継いでまずした事は仇討ちではなく、豊臣と契約をして雑賀衆を立て直したことである その為上記のような個人の意志で孫市を継いだとは考えにくい + 雑賀孫市の過去を聞いた慶次の反応 雑賀孫市の過去を聞いた慶次の反応 原作において、孫市が雑賀衆を立て直した事も含め慶次は知っているという演出がされているが、 アニメでは孫市の過去を聞いた時、まるで孫市と信長の因縁を知らないような反応を慶次はする だが、織田信長の家臣である前田利家の甥の慶次が、織田軍が雑賀衆を一時的な壊滅に追い込んだ 石山合戦のことを知らない事に違和感を覚える + 独断で重要な方針を打ち出すまつ 独断で重要な方針を打ち出すまつ 「これは織田家に連なった者としての責任です」という台詞から、即ち過去前田家が織田配下で あった事の責任という事になる 原作においてまつは、前田利家への進言や尻を叩いて鼓舞させるような遣り取りはあるものの 一歩引いて利家の意思や思いを尊重し寄り添うという描写がされており、今回のように独断で 戦に発展し得る事の決定をするのには違和感が有る + 団子にこだわる伊達政宗 団子にこだわる伊達政宗 無人の茶屋において政宗は団子がないことについて不満を述べるが、 政宗はIG版アニメにおいて小林P(カプコン)より 「イメージが壊れるから食べるシーンはNG」とされていたほど 食に関する描写がされてこなかったキャラクターである。 当然団子を特に好むという設定があるわけでもなく、1国の主とは思えないみみっちさであり、 この台詞をわざわざ言わせた必要性が謎である。 ちなみに、真田幸村にはコミカライズ版より逆輸入された団子好きという設定がある。 + 見付からない伊達主従 見付からない伊達主従 上記項目より政宗と小十郎は茶屋で腰を一旦落ち着けているが、そもそも茶屋の外には 大坂城に集まった各軍の兵が存在している。 その中で、兜を取ってはいるものの変装するでなし、戦時とほぼ同じ出で立ちであるにも関わらず 兵に見付からずに茶屋へ入っているらしい二人。 後に幸村へ政宗が声をかけて存在を知られるのだが、画面に映っている兵はぴくりとも動かず周囲はざわりともしていない。 西軍が他軍の大将の顔すら知らない者達の集まりであり、大坂城から引き返す道中に発せられる 小十郎の「西方は一枚岩では無いようですね」という台詞演出の一つも考えられるが、余りにも 不自然過ぎる演出に首を捻るしかない。 + 民草を盾に取るかような挑発をする伊達政宗 民草を盾に取るかような挑発をする伊達政宗 先の場面において民の現状を小十郎から聞き、「いつも皺寄せは弱い者って事か」と、 民を気遣う本来のキャラクター性を垣間見せていたが、その後幸村との会話にて 「だったら此処でやるか?色々巻き込んじまうだろうがな」と、 民を盾に取るかのような物言いをしている。 たとえ挑発のためであっても、政や民への想いが真摯な政宗のキャラクター性からは考えられない台詞である。 + 無人の茶屋で小十郎が出した茶に金を払う伊達政宗 無人の茶屋で小十郎が出した茶に金を払う伊達政宗 敵陣において無人の茶屋らしきあばら屋に上がりこみ茶を飲むという状況自体がまず謎であるが、 無人であるためか片倉小十郎がどこからか茶を持ってくるという謎展開となり、 さらに茶を出したのは小十郎なのに政宗が自ら小銭で代金を払うという謎の流れが続いた。 場面の必要性、キャラクターの行動としての必然性、時代考証などの点から 違和感が強く、ひたすらぎこちなさを感じる流れであったと言える。 + 清廉さを求める石田三成 清廉さを求める石田三成 原作において三成は秀吉の天下、秀吉の夢を叶える事以外に望む所無く、他者に対しても 自身と同じく秀吉へ対し無条件に尽くす事を求めており、刑部より 「この男は驚くほど何も持っておらぬ。我でさえ奴の私物らしい私物を見た事が無い。 金も名誉も部下も要らぬと言う。おまけに食べることにも興味がない」 と評され、鶴姫からは「こんなに透明な人は初めて」と評されている こうした評価から原作三成のキャラクター性において「清廉」と評されてもおかしくは無いが、 アニメ内において別項、又は過去回検証でも触れられている通り、秀吉への盲目的な信奉心が 原作シーンのカット、家康への反応等により薄れた演出になってしまっている為に、アニメにおいて 三成が「清廉」だと評されるのには違和感が有り、何を指しての「清廉」なのかには疑問が残る + 石田三成を支えたい真田幸村 石田三成を支えたい真田幸村 主を失った三成と、主が病に倒れた自身とを同列に語る幸村 三成自身幸村と同じ迷いの中に居るかは幸村自身分からないようだが 「だが某はそんな石田殿を支えたいと思うのだ」と発言している 原作において幸村は、あくまでも「武田の大将」として成長していく過程が描かれており 8話内におけるような描写は原作には無い オリジナルストーリーの部分に当てはまるとしても、三成を右腕の如く支えるという幸村の言動は 武田の大将としても、武田家臣の思考のままだったとしても、有り得なさすぎる展開である そしてこの直後政宗は「あんたらしいな」と発言しているが、どの部分が幸村らしいのか皆目検討もつかない + 男のジェラシーを感じている伊達政宗 男のジェラシーを感じている伊達政宗 真田幸村より何故東軍についたのか尋ねられた際、政宗は「ちょいとした男のジェラシーさ」と返答している。 当アニメの政宗は既に指摘されているように、政宗の前で家康の話をした者は誰もいないにも関わらず 「どいつもこいつも家康家康…」と突然ゲームにおける三成の台詞を言い出し、 「家康に嫉妬している」という属性は立ち直り後も続いている模様である。 ゲーム3の政宗は、挫折のさなか家康の強さや勢力の大きさに対し、少し卑屈になる場面は見られたが、 その力や人柄に信頼を置き建設的な同盟関係を築いていたため、嫉妬というほどの感情だとするのは疑問である。 また仮に嫉妬という感情を抱いたとしても、それを簡単に他人に吐露するのは、 常に本音を隠し弱みを見せないように振る舞う政宗のキャラクター性にそぐわないものである。 + 使い所のおかしい伊達政宗の南蛮語 使い所のおかしい伊達政宗の南蛮語 南蛮語を操る政宗は、原作においてはここぞという箇所で婉曲表現の意を込めて 単語では無くフレーズで英語表現を使う演出が多い しかし、8話においての政宗は「ジェラシー」や「ティーブレイク」「パーティーのリザーブさ」等、単語を単に 英訳しているだけの演出、又は和製英語を使用しているかのような その単語の持つ言葉以上の意味は無い演出となってしまっており、非常に違和感を感じる + 伊達政宗の一貫していない天下への思い 伊達政宗の一貫していない天下への思い 冒頭で「ここからは最短コースで行くぜ。天下へのな!」と発言しているものの、大阪城の城下にて幸村と相対した後 「俺は戦いたい奴と戦い、越えたい奴を越える」と政宗は発言しており、政宗の天下に対する思いが八話内で一貫して いないように見受けられる + 変わらない伊達政宗 変わらない伊達政宗 「相変わらずだねえ、伊達の旦那は」 「ああ、変わらずでござる。かつての伊達政宗そのもの」 と会話が有るが、どの部分においての伊達政宗なのか疑問である 過去回において初陣では味方兵の命を顧みない指揮をとり、小田原城においては伊達軍を置いて 小十郎と二人での乗り込みをした結果三成に斬られ、目を覚ませば刀を振り回し、天下等どうでも良いと言い 三成への私怨で再び伊達軍を置いての駿府城単独進軍、その後上田城での政宗らしからぬ言動 上記はアニメ内において描写された政宗であり、それ以外の政宗は描写されていない為 幸村や佐助の言う「あいかわらず」な政宗を当てはめるべき演出がされている政宗はアニメ内に存在していない + 南蛮語を使う真田幸村 南蛮語を使う真田幸村 「某のライバルでござる」と発言しているが、ライバルは勿論日本語ではない 幸村が政宗との間柄に使う言葉は「好敵手」 原作において幸村が自身から南蛮語を使う演出は無く、この台詞は真田幸村というキャラクターを 根底から覆す演出であると言える + 謎のビームと関ヶ原の地割れ(回想) 謎のビームと関ヶ原の地割れ(回想) 回想シーンにおいて家康と三成が背中合わせで黄色と紫のビームらしきものを出し、 広範囲を吹き飛ばして地面が割れるという演出がなされた。 このアニメにおけるこれまでの戦闘描写は、1話の伊達主従が斬られて流血するなど、 従来のバサラとの差別化としてかリアル路線の演出であったため、 突然のファンタジー路線に戸惑い禁じえない場面であった。 なお、このビームがあれば武器も歩兵も不要ではないかとの指摘がある。 + 「生き残った将兵との絆を結ぶ方が天下泰平の世の為だ」 「生き残った将兵との絆を結ぶ方が天下泰平の世の為だ」 「無益な殺戮で散る命よりも、生き残った将兵との絆を結ぶ方が天下泰平の世の為だ」 と、絆を説く家康だが、敵兵の罠だったと判明した後は一瞬躊躇するも敵兵全滅という選択肢に 家康の絆の意図が汲み取れない演出となってしまっている そして敵兵を全滅させたと思われる直後に 「ワシは戦いの中でも絆は結ばれるものだと思っている」と更に発言しているが 家康のキャラクター性から考えずとも死屍累々の状況下において発せられる言葉だとは思えない + 友達同士の徳川家康と石田三成 友達同士の徳川家康と石田三成 過去回検証ページにおいて幾度か触れられているが、原作における二人は互いの力を認めているものの 必要以上に馴れ合ってはおらず、元々家康は秀吉の天下を否定する立場であり、原作において秀吉を信奉するような描写は無い + 石田三成の笑顔 石田三成の笑顔 石田三成は戦国BASARA4において新キャラクターの島左近により、 「三成様が笑うところを見たら死ぬ」という噂を冗談で流されるほど笑わないキャラクターであり、 原作の三成のキャラクター性を大きく損なう描写であるといえる。 + 総大将として石田三成を仰ぐ真田幸村 総大将として石田三成を仰ぐ真田幸村 「某は貴殿を総大将として仰いだのは、この戦で全てを賭けるに足る人物と認めたからでござる」 と幸村は発しているが、本来「仰ぐ」は尊敬、敬いの心、もしくは教えや援助等を求め請うという意味であり 兵達の諍いを止める為に「同じ旗に集いし対等な立場」と言っている事と矛盾が生じる 何より、あくまでも幸村は武田の総大将であり、豊臣(石田)軍と同盟を組んだのみで傘下に降ったわけでは無い そして今まで幸村が三成と交わした会話、アニメ内で描写されている三成の行動を考えてみても どの部分が「全てを賭けるに足る人物と認め」「三成を仰ぐ」に至ったのかは謎である 勿論原作においてこのような遣り取りは無い + 天守閣からの演説をする石田三成と、駿府城の傍らで演説をする徳川家康 天守閣からの演説をする石田三成と、駿府城の傍らで演説をする徳川家康 演出の差に驚くばかりである。 + 石田三成の演説 石田三成の演説 演説の全体において原作での石田三成というキャラとの乖離が激しい為、全文抜粋をさせて頂く 皆よ、聞けー! この愚かな日ノ本は、古来より長きに渡り国盗りの戦を続けてきた。 その結果が魔王織田信長等の暴虐を許した。しかし魔王も裏切りにおいて死んだ。 その時!まさにこの国が無くなり、外国(そとくに)に無防備にさらされたのだ。 それを大いなる力と尊厳を持ち立ち上がられたのが、秀吉様である! 秀吉様は、この国を変えようとした。何者にも汚されない強き国に。 この日ノ本は秀吉様により統べられ、一つになる事で強固で盤石な国家になると誰もが信じた筈だ! だが、もうその秀吉様はもう居ない。あの男が豊臣家に忠義を誓っていた徳川家康が裏切り、 秀吉様を殺した! この国を再び戦いの螺旋へと引き戻したのだ! 裏切り者である奴は謳う。嘘で繕った平和への憧憬を! だが私は全てを否定する。どのような甘言で人を惑わそうとも、裏切りから生じたものに真実は無いと! 私は秀吉様に拾われた。幼き私は弱く、生きる術、いや、生きる理由も無く、ただ虐げられただ息をしていた だけの存在だった。そんな私を生かしてくれたのが秀吉様だった。 秀吉様、半兵衛様、お二人のお陰で私は初めて日常を得たのだ。 この戦いの先は私には考えられない。それは生き残った者達が考えれば良い。 私には秀吉様以外は何も無かった。今の私はこの大きな軍を率いるには相応しくないかもしれない。 私は大将としては空虚だ。それでもこんな私を信じてくれる者達が居た。 隙間だらけの私を埋めるために、自ら手を汚した者が居た。ある者は私を支えてくれると誓ってくれた。 感謝しよう。そして共に約束を交わして欲しい。命の全てを捧げ、戦い、そして勝利すると。 行くぞ!成すべき事は一つ! 東の旗が掲げた偽りの絆に断罪を!家康に死をー! 上へ 一つ前のページにもどる
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「まずは小手調べ。100人の漢どもの荒波に揉まれてもらう!武田道場名物・100人組み手!始めえい!」 「望むところじゃ!」 「うおっ、もう始まってる!お姫様を守らないと…」 佐助が道場に足を踏み入れた時には、既に兵に取り囲まれた氏政が、愛用の槍を携え構えていた。 怪我でもされてはマズいと、佐助は氏政の傍に駆け寄り、手裏剣を身構えた…が 「ぎゃああああ!」 「いてててっ!手加減してくださいっ」 武田の兵たちが、氏政の振り回す槍によって氷漬けにされ、ふっ飛ばされていく。 「なんの、まだまだ!!」 あの大層な槍を、細い身体で上手くバランスを取りながら、ぶんぶんと振り回している。 しかも、闇雲に振り回している訳ではなく、正面から斬りかかってきた兵に一撃見舞うと、返す手で背後の兵をなぎ払う。 無駄な動きを一切せず、的確に敵を捌いている。 …へえ。結構やるじゃん。 氏政の健闘振りに、佐助は感心した。 そういえば、先代当主の爺さんも、腰痛持ちで何とも頼りない感じだったが、それでも 大層な槍で敵をなぎ倒していく様は、少し不恰好ではあったが「名門北条家の名は伊達じゃない」と納得せざるを得ないものだった。 これも血…なのかねえ。 まるで槍に振り回されてるかのように頼りなく見える氏政を見ながら、佐助はそう思った。 「そこまで!見事じゃ!」 大将の号令と共に、武田の兵がぞろぞろと引いていく。 兵が引いたと同時に、氏政ががくんと腰を落とした。 「あいたたた…腰が…」 気が抜けたのか、氏政が腰を抑えてへたり込んだ。 だから今夜は駄目じゃというたのに…と半泣きでぼやいている。 ああ、ヤりすぎて腰に力が入らないんですか。 いやはや、お盛んな事… 「…では、これはどうかな?」 そんな氏政を気にも留めずに、次の手を出そうとするお館さまに、佐助は慌てて制止を呼びかける。 「ちょ、ちょっとちょっと!たんま!…って、え?」 佐助の前に背を向けて立ちはだかった小太郎が、背中に背負った忍者刀の柄に手をかけて構えている。 次の瞬間には、お館様に喝を入れられた武田の兵達が、風に飛ばされ宙に舞っていた。 …その後は…言わなくてもわかるっしょ? 風魔がぜーんぶ片付けちゃったよ。いとも簡単に。 大将と旦那も流石に空気読んで、また次の機会にって事になった。 …まあまた隙を見て仕掛けて来るんだろうけど。 どうも風魔はお姫様の意思を尊重して、ヤバくなるまで手出ししなかったみたいだ。 俺様からしたら「美味しいトコ持って行っちゃったなー」って感じだけど。 ただ、風魔に抱えられて道場を出て行く時の白いお姫様がしょんぼりとしていたのが、印象的だった。 吼えぬ孤狼と骨折り狐 9